王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
17章 ガラスの靴と社員証と策略と
17章 ガラスの靴と社員証と策略と




その夜――――


就寝の準備を整えた私は、ベッドの上でゴロゴロしながら、ベルベットの箱をそっと見つめていた。

これを見てると、とっても幸せな気持ちになる。


「またそれみてるの?」


お風呂から永斗さんが戻ってきた。


「おかりなさい」

「我慢しないで、使ってもいいんだよ?」


お揃いのパジャマを着た永斗さんはくすっと笑って、タオルで濡れた髪を拭きながら私のそばに腰を下ろす。


「いいえ。これは、結婚式の日から使います。それまでは大切にとっておきます」


かれこれ何度も同じやりとりをしている。

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