【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
「――このことは来美にも言ってあったんだけどな⋯⋯」
「はい?! いつ言いました? 全然聞いてませんよ!」
女性向けのサービスとしてブーケトスを行ったあと。
戻ってきた来美は、珍しく大きな声をあげた。
胸の下まで伸びるウィッグがゆれて、ティアラに埋められたダイヤモンドが太陽に反射してまばゆい。
これはこれで美しいが、いつもの黒髪が恋しいと思いながら、前髪を崩さないように撫でる。
「もう、随分前⋯⋯3ヶ月くらい前になるかな。来美がいつもみたいにベッドでポーっとしてるときに相談したよ。
『父さんに、ホールディングスの役員と、ついでにフーズ社員にお披露目パーティーをしろってうるさく言われてるんだけど⋯⋯陸と空と海どこがいいと思う?』って」
「――?!」
「それに来美も、しっかり返事してたよ。
『海がいい。⋯⋯海は永斗さんの碧だから』
って、最高の口説き文句をくっつけてね」
「――あれ夢じゃなかったんだ⋯⋯」
思い至ったように、口を開けたまま固まる彼女。
あまりにも可愛らしく、我慢できずに額に唇を押し当てると、周囲を視線をめぐらして、それからたしなめるような視線を僕に向ける。
そんなことしても可愛いだけだ。
そこへ、扉の開く音がして