【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
バラの生花を厳重な湿度管理でドライ化するのは大変だった。
しかし、彼女のプレゼンした商品、『美のフレーク』のなるもの、主役となるバラを入れないわけにはいかない。
さらに、彼女のプレゼン資料を見ながら、ナッツ類やブルーベリーやラズベリーなど原料各種を集め、僕は仕事の合間や残業時間に、こっそり開発チームの研究室へ通い詰めた。
もちろん、来美に見つからないように作業するには、彼女を寄せ付けない協力者が必要だったわけで。
今日に至っては、シェフが作ったショートケーキに、先日ようやく実現した彼女の商品案をふりかけて、装飾してもらった。
「私たちはお手伝いのようなことしかしていませんが、社長は最後まで先輩のプレゼン見て、試行錯誤してましたよ」
佐久間さんが全て種明かしをしてしまうと、来美は弾けたようにこちらを見上げて、唇を震わせた。
言わなくていいことまで言ってくれたな。
「先輩、幸せになってくださいね」
「ありがとう⋯⋯」
佐久間さんに手を取られた来美は、言葉に詰まらせ、そして目を潤ませながら頭を下げた。
それから少し会話を重ねた後、気遣った彼女は「あとはお二人で〜」と言い残しメンバーを無理矢理ひき連れて、甲板で開催されるパーティーへと戻っていった。
扉が閉まる直前、園部雄大がこちらを向いて深く頭を下げていたのが、妙に印象深かった。
心配いらない。
彼女のことは、誰よりも幸せにするさ、僕がね。