【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
そうして扉が閉まった瞬間
「永斗さん⋯⋯っ! ありがとうございます」
「うわっ」
まるで体当たりするかの衝撃と共に、胸に飛び込んできた来美。
突然のことに、少しよろけてしまったが、しっかりと彼女の折れそうな腰と背中に手を回して受け止めた。
こんなに感情的になるのは珍しい。
だらしなく口元が緩む。
「⋯⋯君が笑ってくれるなら、なんだってするよ」
「あまりそうやって甘やかさないでください⋯⋯。いつか、わがままになりそうです」
「なっていいんだよ⋯⋯ただし、僕の前だけね?」
少しだけ身体をはなした僕は、彼女のストールを解いて、それから少しだけそれを上へと持ち上げて顔を近づけた。
喧騒が見えなくなって、まるで二人きりになったと錯覚しそうだ。
「なな、なにするつもりですか⋯⋯?」
「⋯⋯これなら周りから見えないと⋯⋯」
「いやいや、ば、バレバ⋯⋯んんっ!!」
秋の終わりにしては熱い太陽の下。
ケーキにナイフを入れるのは、ほんの少しだけ後回しにして、愛しい彼女の唇をほんと一時だけ堪能させてもらうことにした。
ホストとして失格かもしれないが、今日くらいは許してくれ。