王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
でも、いざ目の前にすれば、そんなのどうでもよくなる。
怪我をしたのは誤算だったが
社長室にやってきた彼女を目の当たりにすると、ひとつひとつの仕草に、痛いほど心が揺れ動かされた。
応急手当とは言え、あんなに近くまでやってきてじっと人の顔を見つめたり、甘いものを差し出せば満面の笑みを見せたり。
焦るな。焦るな。
そう言い聞かせていたはずなんだが⋯⋯
割と堪え性のない僕の決意なんて、あってないようなものだった。
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