【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
それからほどなくして、作戦は決行された。
商品開発チームは、うちの会社でいちにを争うくらい忙しいことから、彼女が定時で退勤するという日は、なかなかない。
退勤パターンを調査した島田が、毎月はじめは必ず定時で退勤していることに気付き、女子更衣室のロッカーから彼女の社員証を手にして、僕のもとにやってきたのが決行の合図だった。
しかしうちの会社は、更衣室の入口にIDのついた機器に、社員証をかざすシステムになっている。
そのため更衣室で着用を義務づけられていて、社外に持ち出すことは滅多にない。
落ちていたと言っても、信じてもらえなかったら、ただの泥棒扱いでは⋯⋯。
そんなことを考えていると、
「社長を疑う人はいません。それに、疑問もたせるくらいのほうが印象に残ります」
なんて、涼しい顔をして言う島田は、おそらくヤバい奴だ。
少し危ない橋を渡るような気もしたが、ここまで来たらやるしかない。