【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
『ありましたよ』
その日は、棚の上にある積み重なっているファイルを引きぬいたら、雪崩のようにファイルが崩れてきて、眼鏡まで弾き飛ばされた。
落とした眼鏡を拾ってくれた男性の顔は、よく見ないうちに立ち去ってしまったけど、
とてもいい香りのする人。
⋯⋯思えば、ちゃんとお礼も伝えていないな。
「――おい」
「なに?」
再び捜索に夢中になっていると、隣にやってきた園部が呆れたように私を見下ろし、髪やスーツからホコリを落とすように払った。
「⋯⋯お前真っ白。そんな姿でデスク戻ったら、周りもドン引きだろ。いくら華金に予定が無くても身なりくらい綺麗にしとけよっ」
華金て⋯⋯古いし
「⋯⋯別に関係ないでしょ」
白い歯を見せてケラケラする園部をムッと睨みつけた。