【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―

『ありましたよ』

その日は、棚の上にある積み重なっているファイルを引きぬいたら、雪崩のようにファイルが崩れてきて、眼鏡まで弾き飛ばされた。

落とした眼鏡を拾ってくれた男性の顔は、よく見ないうちに立ち去ってしまったけど、

とてもいい香りのする人。

⋯⋯思えば、ちゃんとお礼も伝えていないな。


「――おい」

「なに?」


再び捜索に夢中になっていると、隣にやってきた園部が呆れたように私を見下ろし、髪やスーツからホコリを落とすように払った。


「⋯⋯お前真っ白。そんな姿でデスク戻ったら、周りもドン引きだろ。いくら華金に予定が無くても身なりくらい綺麗にしとけよっ」


華金て⋯⋯古いし


「⋯⋯別に関係ないでしょ」


白い歯を見せてケラケラする園部をムッと睨みつけた。
< 78 / 489 >

この作品をシェア

pagetop