【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
振り切るように園部に背を向けて、再び本棚と向き合う。
優しいかと思えば、いつも一言余計だ。
外見にコンプレックスに近いものを抱く私の気持ちなんて、モテる男には絶対にわからない。
何しろ園部はフロアの女性から食事に誘われて、それもさり気なく断ってしまうモテ男ぶり。
なんでこんなやつがモテるんだろう。
なんてぶつくさ文句を心の中で思っていると、
「予定ないなら、一緒に飯でもいくか?」
はい?!
「なに言ってるの」
いつもの軽口かと思って肩越しに睨みつけると、切れ長の静かな瞳は、私の分厚いレンズをじっと見下ろしていた。
な、なに⋯⋯?
いつもと違った雰囲気に、少しだけ動揺が走る。
くっきり二重瞼から覗く、切れ長のシャープな瞳。
真っ直ぐ引き結んた、薄い唇。
色黒の肌に嵌められたふたつの瞳は揺れていて、いつもの軽口で返せる様子ではない。
入社当初から一緒だったけど、プライベートでの付き合いなんて無かったのに、
いきなりどうしたの?
園部の変化に戸惑っていると、
「――失礼。先客がいたのか」
話を遮るように、資料室の中央の通路をコツコツと音を立ててあらわれた長身を見て、私は大きく息を呑んだ。