【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―

しなやかな腕がファイルを抱えて背を向けると、「では失礼」と優雅に歩く。


広い背中と伸びた背筋。

仕事が早くて、指示が的確。

素早い判断力と、トラブルへの対応力。

できる人間なのに、それを鼻にかけない柔らかさ。

まさに非の打ち所がない、美しい経営者。


⋯⋯これが漆鷲社長だよね。

やっぱりあれは何かの間違い。

もう、あの出来事はもう忘れよう。


そんなふうに言い聞かせて、出ていこうとする後ろ姿を見ていると、


「そうだ、真島さん。
よかったら、営業部の佐藤さんのところまで案内してくれるかな? まだ顔と名前が一致しないんだ。」


社長は思い出したように振り返った。


「――え」


硬直した。

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