【コミカライズ】漆鷲社長の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―
いやいや
確かに忘れるとは言ったけど、早すぎますって。
まだ部屋を出ていってすらいないし。
社長の頭には、これっぽっちもあの日記憶は無いんだろうか。
ど、どうしよう。
顔だってまともに見れないのに。
「お願い⋯⋯できないかな?」
綺麗な眉が、少しだけ寄せられて、悲しそうな顔で私を見る。
まるで捨て犬が「拾って」とでも言うような、そんな表情で
海のような瞳がキラキラゆらめき、光線のようなきらびやかなものを発している。
そんな顔されたら⋯⋯
「⋯⋯わかりました」
渋々了承した私は、園部に「先に戻ってて」と伝えてから、そのまま漆鷲社長の後ろをついて部屋を出ていった。
営業はこの上の階だから、社長を階段を歩かせるわけにはいかないし
エレベーターに乗せて移動しよう
そんな算段を立てながら、会議室の扉を締めたところだった。
大きな手に肩を引き寄せられて、隣の資料室の中に無理矢理連れ込まれたのは。