王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
4章 食事と変身とお願いと
4章 食事とお願いとキスと




そして―――

残業後に人目を盗んでやってきた社長室で、私は困惑した声をあげていた。



「ただの食事なのに、なぜこんな格好に⋯⋯?」



いったい、何をどうしたらこんなことになるの?


赤い絨毯の真ん中に置かれた全身鏡。

自分の変貌を見て驚きを隠せなかった。


これが、私⋯⋯?


デコルテがレース状になった、サーモンピンクのAラインのワンピース。

素材は柔らかくて、触れるだけで上質だとわかるくらい軽やか

寸胴な腰回りを革の細いベルトで絞られ、レースの施された裾が膝で揺れている。

足元には、キラキラしたビジューの添えられた、ストラップ付の白い上品なパンプス。

ティアラのように念入りに編み込まれた短い髪に、念入りに化粧を施された、眼鏡の無い顔。

まるで今から貴族のパーティにでも行くような、この格好に疑問を隠せない。
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