結婚から始めましょう。
「あの日、僕が桃香を迎えに行く前に、黒田が控え室を訪れたことを覚えてる?」

首を縦に振って応えた。
私の指先が再び震えだしたのを感じた蓮は、「大丈夫」と言いながら、両手で私の手を包んだ。

「黒田の訪問は、部屋を出ていくのを見た社員が教えてくれて、本人から事情を聞いた。
桃香に随分ひどいことを言ったみたいだね?」

瞳にうっすら涙が浮かぶ私を見て、蓮が指で拭ってくれる。そうしている彼自身が苦しそうな顔をしていて胸が痛む。

「それから、少し前に真人さんにも何か言われてるね?」

真人に会ったことを知られている。後ろめたさからピクリと肩が揺れた。
私の動揺は、蓮に伝わったはずだ。

「大丈夫。心配しないで。全部知ってるから。もう桃香が苦しむことのないようにしたから」


蓮の言葉を聞いて、首を小さく縦に振った。






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