結婚から始めましょう。
「僕を困らせる条件だった。そんな相手もいなかったし、誰かと出会って知り合っていく時間的余裕もなかったから。
おじいさんの期待には応えたい。けれどさすがに無理難題過ぎて、この提案ばかりは応えられなくても仕方がないと思っていた」

ここではない、どこか遠くを見るようにしてそう言った蓮が、ゆっくりと私と目を合わせた。

「でも、そのすぐ後、僕は桃香に出会った。完全に一目惚れで、恋に落ちるのなんて一瞬だった。時間的余裕がないだとか、おじいさんからの提案だとか、そんなことまるで関係なかった」

蓮は何かを思い出したのか、くすりと笑いを漏らした。

「なんとかして桃香と接点を持ちたかった。既婚者だと聞かされても。
桃香が、おじいさんの親友の身内だとわかった時は、心底驚いたよ。運命だと思った。
君と会えば会うほど、どんどん惹かれていった。周りのお膳立てに乗って、強引に話を進めた自覚はある。それぐらい、どうしても桃香と結婚したいと思ったんだ」

不意打ちの愛の告白に、顔を赤らめて俯いた。
蓮はそんな私を愛おしそうに見つめてくる。

「必死過ぎてかっこ悪いだろ」

と恥ずかしそうに言う蓮の言葉を、首を振って否定した。


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