結婚から始めましょう。
面談の数日後。午後6時。
純也は約束通り未来アートへ足を運んでくれた。

「お待たせしました」

軽く会釈をすると、先日の振る舞いのせいか若干気まずそな表情をした。あえて気付かないふりをして、面談スペースへ案内する。

前回は父親も同席していたため〝純也さん〟と呼んでいたけれど、いまさら南田さんに変えるのもおかしくて、そのまま名前で呼ぶことにした。

「純也さん、先日は話を聞いてくださってありがとうございました」

「いえ。こちらこそ、失礼な態度を取ってしまって申し訳なかったです」

「大丈夫ですよ。純也さんはこうしてここへ来てくださいましたから。
早速ですが、まずは個人情報のご記入をお願いします」


書き上がったものを確認してまずわかったのは、彼の字がとても綺麗だということ。きっと真面目な人なのだろうと想像する。癖のないお手本のような字は、彼の誠実さを表しているようだ。

年収も大手に勤めているだけあって平均より随分上だ。南田によると、次の異動時期には課長にと推されているらしい。この年齢で課長だなんて、なかなかないと思う。
優しげな容姿も、180cm近い身長もプライス材料だ。

今のところネックになるのは、一度の離婚歴。ただこれも、相手の有責であることを考えればそれほど大きなマイナスにはならないだろう。


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