結婚から始めましょう。
「次は、お相手に望む条件の確認ですね。まずはこちらに目を通していただいて、ご記入をお願いします」

差し出したのは、相手に求める条件を記入する書類だ。

「結構細かく書くんですね」

書類に視線を落としたまま、純也が呟いた。

「そうですね。後からこんなはずではなかったなんてことが起きないよう、最初にきちんと確認しておくんです」

「希望する年齢層……両親と同居かどうか……相手に求める年収……」

ぼそぼそと声に出しながら記入していく隣で、タブレットを開いて彼の基本情報を打ち込んでいく。
事前にこういう希望を聞くことは伝えてあって、彼もそれなりに考えてきたはずだけど、いざ詳細を目にすると迷いは生じるもの。純也は時間をかけながら吟味していった。



「一応、書けましたけど……」

相手に求める条件を考える時、こう自信なさげになる人は少なくない。他人にここまで求める自分には、一体どれほどの価値があるというのか。そこには迷いや不安が生じて当然だ。

そして、迷うのは良い傾向だと思う。むしろそうでない人は見た目以上に傲慢だったり、自分のことしか考えていなかったりする。
おまけに何度も確認したはずの条件を、土壇場になって覆すタイプだったりもする。

今の純也を見て、ますます素敵な出会いを叶えたいと思った。



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