結婚から始めましょう。
「おめでとうございます」


夫婦になるってあっという間のことだ。用紙に必要事項を記入して提出すれば、結婚は成立する。
だけど、そこに辿り着くまでの過程は人それぞれ。

私と蓮は、いわばお見合いという形で出会った。そこに、蓮が私に一目惚れしたという特記事項が付くけど。

出会って3ヶ月というのは、恋愛結婚にしては短く、お見合い結婚としては普通。
じゃあ、お見合いでありながら恋愛結婚をした私達の場合はどうなのだろう。

その疑問と初めてに対する不安を払拭するように、「恋をしたい」と言った私に、蓮はいつも合わせてくれた。
だから、今は不安を感じる隙もないぐらい、幸せに満たされている。


「これからよろしく、僕の可愛い奥さん」

乗り込んだ車内で、蓮が笑みを向けてくれる。

「こちらこそ、よろしくお願いします。旦那様」

一緒に微笑み合えば、自然と距離が近付いて口付けを交わした。



そのままサプライズだと、蓮に連れていかれたのはドレスを扱うお店だった。
蓮に言われるまま試着をしてドレスを決めると、続いてメイクと髪型を整えられた。

「よく似合ってる。綺麗だ」

褒められれば悪い気はしない。
着慣れないドレスも、蓮がそう言ってくれるなら悪くないと思えてくる。

詳細を知らされないまま連れて行かれたのは、ベリーヒルズビレッジのオフィスビルの上階に入っている、高級レストランだった。

ここは陽子の知り合いが経営していると聞いたけれど……
なるほど。とてもじゃないけど、少しかしこまったぐらいの服装では入れてもらえなさそうな雰囲気だ。蓮がドレスを着せてくれた意味を理解した。



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