結婚から始めましょう。
父親の職業に、なんの問題があるというのだろうか。意味がわからない。

「秋葉幸太郎には4人の子どもがいる。俺の父親に、蓮の母親。他に息子と娘が一人ずつ。娘の一人は、見合い結婚で秋葉を出ている。相手は取引先の社長だ。
残りの3人は、それぞれ傘下のグループ会社に入社した。息子2人は実績を残して社長に就任した。さらに別会社の代表取締役となっている。いずれ長男である俺の父親が、祖父の跡を継ぐ予定だ」

やはりそれと同じ道を、蓮もこの人も辿っているのだろう。

「蓮の母親の陽子さんは好奇心旺盛な人で、自らカサブランカを立ち上げた。会長の考えていたポジションを蹴ってな。けれど会長は、そういう陽子さんを容認して、やりたいようにさせていた」

真人は私の反応を確かめるように、じっと目を合わせたまま語っていく。その話ぶりは、わざと私を焦らしているようだ。

「会社を立ち上げるまではまだよかったんだ。結果として成功して、秋葉グループの成長につながったんだからな。まあ、微々たるものだが」

「そんな言い方ないです」

そのバカにした様子に、抑えていた怒りが一気に沸点に達してしまった。
私の反応をおかしそうに見てくるこの人に、憎しみすら抱いてしまいそうで、再び手をぐっと握って心を落ち着かせた。

< 93 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop