結婚から始めましょう。
「見かけによらず、勇ましい女だな」

思わずジロリと見てしまったものの、これ以上何かを言っても全てバカにされそうで、俯くことで耐えた。

「一番の問題は、陽子さんがしがない高校教師なんかと結婚したことだ」

嫌な笑みを浮かべたまま、再び蓮のご両親を侮辱する言葉を吐いて、私の様子を伺ってくる。
蓮に似た優しい笑みの拓馬を思い浮かべると、あまりの言い草に言い返したくもなる。けれど、挑発に乗せられないように、なんとか堪えた。

「秋葉グループ直系の人物が、自分の気持ちを優先して恋愛結婚をする。これがどれだけ愚かなことかわかるか?」

言われている意味が即座に理解できず、私の思考は固まってしまった。

「本来なら、グループの為になる相手と結婚すべきなんだ。他の兄弟のようにな。けれど、陽子さんはそうしなかった。その上、会長も末の娘可愛さからか、それを許してしまった」

グループの為になる相手……つまり、政略結婚ということか。


あれ?それじゃあ、私達の結婚って……


「気付いたようだな。あんた達も陽子さんと同じ、グループの為にならない結婚をした」

私たちの結婚は、そこに問題があるというのだろうか。
私の心を占めるのは、次第に怒りよりも不安が大きくなっていく。


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