結婚から始めましょう。
「蓮は自分がカサブランカを継いだことをどう思っているのか?いや、カサブランカ程度しか継げなかったことを」

「えっ?」

ニヤリとすると、再び見せつけるようにカップに手を伸ばした。
この人は、一体何を言いたいのだろうか。

そのまま一口飲んでカップを置くと、強調するようにはっきりと言い放った。

「爪弾きにされているからだよ。親族からな」

爪弾き……
蓮は幸太郎とあれほど親しいというのに?
再び放たれた言葉が、ズキっと胸に刺さってくる。

「価値のない結婚をした母親のせいで、あいつの立場を認める親族はほとんどいない。だから、主だった会社は継げなかった。
ただ、娘の産んだ孫はやっぱり可愛いのか、会長だけは目をかけていた。そういうところが逆に親族の反感を買っているというのに」

あまりの言いように、言葉を失った。
価値のない結婚って……

「確か、あんたは結婚相談所に勤めていたな。ならわかるんじゃないか?結婚はメリットのすり合わせで成立するものだって。感情よりも条件。それが合理的だろ?」

「……違います」

真人の言い草に怒りや不安で感情を乱され、体がわなわなと震えてくる。

「条件を合わせることは否定しません。その通りの部分もあります。
でも、それでも最後はやっぱり気持ちです。私の仕事は、決して損得で結婚を決めるわけではありません」


< 95 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop