結婚から始めましょう。
「ふん。それをくだらないと言うのだ。まあいい。
あの甘い会長は、可愛い娘の産んだ孫を守ってやりたかったんだろうなあ。最近、蓮が別会社の取締役を打診されてるって聞かなかったか?」

ギクリとした。確かに先日、そういう話を聞いた。親族なんだから、この人がそれを知っていてもおかしくないんだろうけど……

「会長からの条件なんだよ。半年以内に蓮が自力で結婚を決められたら、カサブランカなんかより格上の会社の取締役にさせるってな。可愛い蓮にも、母親のように自由な結婚をさせてやりたかった……
というのは建前で、本当はきちんとした見合い相手を用意できなかったんだ。親父達が邪魔してな。会長は最初、グループの為になる結婚をすれば、俺らと同じ立場に立たせられると踏んだんだろうけど」

この人達にとって、結婚は手段でしかないのだろうか。聞いてて気分が悪くなってくる。

「妻がそれなりの相手なら、蓮の地位も認めさせられると踏んだ会長に、親父達はそうはさせないと横槍を入れた。だから、あいつの元へ持ち込まれる見合い話は程度が知れていた。
だがな、そこは腐っても秋葉グループの会長だ。今度は身を固めるなんて当たり前のことを餌にして、蓮の昇進を独断で約束した。この際、相手なんて誰でもいいってことだ。目的に目が眩んだばかり、本末転倒だな。結局は、地位も名誉も何も手に入らないというのに。矛盾してることに気付いてもいないのかな。蓮可愛さにおかしくなったようだ。
親父達の怒りは相当なものだ。だがどんなことがあろうと、会長には逆らえない。
けどな、俺達はただでは済まさない。将来生まれてくるだろう子の代では、何も継がせる気はない。その頃には、会長もいないだろうしな」

私の常識とあまりにもかけ離れた話に、理解が追いつかない。
真人は人を小馬鹿にしたように鼻で笑うと、さらに続けた。


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