触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「じゃあ、仕事頑張ってくださいね」



ハザードのつけた車を会社のビル前に停める。

朝はバタバタしてしまったけど、いつも通りの時間に着いた会社の周りには、ちらほらとスーツ姿の人が歩いている。



「うん、行ってきます。送ってくれてありがとうね」

「そしてここでチューすると」

「しないから。なんか澪ちゃんそのテンションうぜえ」

「口悪いよ!?」



笑って車を降りる。

女の子の澪ちゃんにはリードされっぱなしで心臓が忙しかったけど、こんなふうに遠慮なく話せるのは楽しい。

今までの人達とはずっといつ触られるか気が気じゃなくて、そういう雰囲気になるのが怖くて、会話も上の空だったから。

付き合って1ヶ月足らずで澪ちゃんはいろんなことを教えてくれる。



「行ってくるね」



一度降りた車の座席に膝を乗せて、運転席の澪ちゃんの頬にキスをする。
驚いて目を見開く澪ちゃんがめちゃくちゃ可愛かった。

心の底から思う。
この人を好きになってよかった。
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