触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
サラサさんの目が大きくなった。



「……したの? 」



私が思っていた内容より手前の文を拾って驚いている。



「あれ、澪ちゃんから聞いてないの……?」

「聞いてないわよ何よそれ!」



それから、カウンターの下にしゃがみこんで何かを取り出している。



「お祝いしましょ! 当事者1人足りないけど!」



ゴン、とカウンターに置かれた年代物のワイン。

ワイングラスを2つ手にして、サラサさんがカウンターから出てきた。
私の隣に座ってくつろぐように足を組む。



「サラサさん、いいの、これ、高いんじゃないの?」

「いいのいいの、嬉しいことがあったときに飲むんだから!」



まだビールも飲みきっていないのにワインが注がれる。

カンパーイ!と陽気にグラスを傾けて、サラサさんが私が頼んだソーセージをつまむ。



「あの、私の悩みは……」

「あぁ、」



さっきまでのにこやかな顔がすっと消えた。
そしてアホらしいとでもいう態度で。



「アンタのはただ性欲が強いってだけでしょ。悩みにもならないわ、そんなの。
触らせてもらえばいいだけなんだから。

今まで触ってこなかった分、気持ちよさを知って性欲が爆発してるだけよ。
処女や童貞が卒業したときに似てるわね。

回数重ねればおさまるわよ、自然と」



ふんぞり返りながら、サラサさんが鼻で笑った。



「今頃、アンタだけじゃなくて、きっと澪ちゃんもそうなってるわよ」
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