触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
「……今日、ミカさんちに行っちゃダメ?」

「えぇ!?」

「いい加減にしろ」


いつの間にか他のお客さんは帰っていたのか、カウンターを片付けに出てきた澪ちゃんが智哉さんの頭を鷲掴みにする。

私たちしかいないからか、口調もいつもの澪ちゃんになっている。



「お前、帰りたくないって、もう22時過ぎてんだけど。
お前のとこのアパート男しかいないのに妹1人にしていいの?」



澪ちゃんの言葉に智哉さんがハッとする。



「やべぇ、帰るわ」

「タクシー呼んである。たぶんそろそろ来るかも」

「マジ? お前最高か。じゃあね、ミカさん」



スツールから降りた智哉さんが去り際に私の頭を撫でた。

澪ちゃんがその背中を蹴る。

私は酔いが回っていて反応できなかった。










戻ってきた澪ちゃんが無表情のまま私を抱きしめる。



「ーー澪ちゃんっ」



この場に人はいなくても奥にはたくさんいるから、誰か出てきたらと思うと気が気じゃない。



「今日来るの遅かったから心配した」

「うん、ごめん! 離れて!」

「やだ、もう少しくっつく。今日の分のミカさんを補わないと……」

「家帰ってから! ね!?」

「家帰る頃には日付変わってますー、今日じゃないですー」



駄々っ子のように澪ちゃんの語尾が伸びる。

あぁもう、絶対このタイミングでサラサさんが来る。



「百瀬さん?」

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