触らないでよ!〜彼氏に振られたその日、女の子(?)に告白されました〜
須賀さんを見送ってから、サラサさんが私に奥のボックス席に来るように言った。



「澪ちゃんはそこで待機。仕事しなさい仕事」

「えー」

「えーじゃない。2人っきりにさせたらアンタ達なにするかわかったもんじゃない」



少し救われた気になって、澪ちゃんに手を振る。

家だと何されてもいいんだけど、人の目があるところでは困るから。










「私、奥で飲むの初めて」

「アンタ初めて来たときからカウンターだもんねー」



トイレがボックス席の先にあるから入ったことは何度もあるけど、実際に座るのは初めてだった。

両隣をギラギラしたオネエさんに固められる。



「この子が澪ちゃんの彼女?」



長い爪のついた指先であごを引き寄せられる。

顔立ちは女の人らしいけど、ドレスから伸びる肩や腕や声が男らしくて混乱する。



「えー嘘、私も触りたーい」



今度は顔を右側に向けられて頬をくるくると撫でられる。

この状況はなに……。



「あの、サラサさんっ」

「んー?」



接客する気がないのか、私の向かいに座ったサラサさんが水割りを作って自分で飲んでいる。

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