エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


『どの口が言ってるんだ、氷室くん。浮気しかしないような男が言えることじゃないだろ』
『いやー、そこは堂々と棚に上げさせてもらいます』

盛り上がる三人を見ながら、四宮さんとポツポツと会話を交わして楽しんでいると、話題が変わった。

『でも、じゃあ、バージンロードは氷室くんに任せていいのかしら? それとも氷室くんのお父様がいいかしらね?』

『あー……どうだろ。親父、たぶん、ボロボロに泣いて歩けないと思いますよ。それに〝そういう柄じゃないから俺はいい〟とかぐだぐだ言いそう。でも、鈴のことは大事に思ってるし引き受ける可能性もあるかな』

なんだか会話の方向がおかしいなとは思ったけれど、お酒の席での話だし、そのうちに氷室さんのお父さんについてに話題が移ったから特に気には留めていなかった。

でも……あそこでお母さんがポンと〝バージンロード〟という言葉を出したことが引っ掛かり、浅尾さんの言葉にただ笑ってもいられなくなっていたとき、携帯がメッセージを受信する。

バッグから取り出して確認すると、そこには四宮さんからのメッセージが表示されていた。

〝両親が鈴奈に服を贈りたいから、スリーサイズを教えて欲しいらしい。それと、Aラインとプリンセスライン、マーメイドラインだったらどれが好みかということも〟

〝それと、議題にあがっていたバージンロードの新婦の父親役は氷室のおじさんが泣きながら引き受けてくれたそうだ〟

「なになに? 四宮くんがなんだって?」と、浅尾さんが私の手元を覗き込んでくる。
私はといえば、頭がついていかず十秒ほど唖然としていたけれど、我に返りそのまま通話ボタンを押した。


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