エリート副社長とのお見合い事情~御曹司はかりそめ婚約者を甘く奪う~


『とはいえ、少し気が早すぎるとは思って、もう両親には話をつけてある』
「え……本当に?」

『ああ。だから、ウエディングドレスの形は、世間話のつもりで答えてくれればいい。あとからいくらでも変更はきくし、俺も鈴奈の好みを把握しておきたいと思ったから聞いたまでだ』

そう言ってくれて、少し落ち着いたは落ち着いたのだけれど……迂闊に答えたら、お母さんたちが動き出しそうに思えて怖い。

とりあえずしばらくは考え中でまだ迷っているという話にしておこうと心に決めていると、四宮さんが言う。

『しばらくは恋人としての時間を楽しみたいと思ってる。その中で、鈴奈の気持ちが追い付いてきたら徐々に話を進めていく方向でいいか?』

慎重に聞かれ、恥ずかしくなりながらもしっかりうなずいた。

「……はい。私でよければ」

真っ直ぐに前を見て答えた私を見て、隣にいる浅尾さんが安心したように笑い、手を振りバックヤードに戻っていく。

そんな浅尾さんを見ていると『今夜、会えるか? いつかのデートの仕切り直しをさせて欲しい』と告げられた。

言われてみれば、まともなデートもまだだった。
仕事帰りに食事に行こうとしたのに、氷室さんから電話が入って……結局そのままだ。

『都合は?』

耳触りのいい声に問われ、じわじわと胸の奥から嬉しさがこみ上げてくる。

ウエディングドレスは、やっぱりまだ早すぎるけれど……恋人の時間を重ねた先に見えるものがそうだったらいい。

ふたりのこれからを、四宮さんと一緒に、少しずつ大事に積み上げていきたい。
形が変わることがあっても、決して壊れないように大切に。

だから、まずは。

「私も会いたいです。……昴貴さん」

勇気を出して、一歩踏み込むところから始めよう。

昴貴さんの驚いた顔を想像するだけで、幸せで笑顔がこぼれた。




END



< 212 / 212 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:372

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
白川柚希 老舗旅館〝白川楼〟のひとり娘 有沢悠介 有沢グループ御曹司 強制的に結婚させようとする実家から逃げるために地元から離れた柚希。 失踪から三年後、結婚相談所に入ろうとしていた柚希を呼び止めたのは、三年ぶりに会った悠介だった。 お互いの都合のよさから契約結婚をし、かりそめの夫婦となったものの、ぶっきらぼうな態度の裏にいつでも優しさを隠し持つ悠介に気付き、柚希はどんどん惹かれていく。 「誰かにおまえが傷つけられたら、それがどれだけ俺にプラスに働こうと〝結果的によかった〟とは思えないし、もしもおまえが俺の前から消えたら見つけ出すまで探し回る。今度は世界中だ」 三年間、ずっと探してくれていた悠介にすぐにでも想いを返したいのに、追ってきた母親やスキャンダルのせいでちっとも噛み合わず、それでも日々大きくなる恋心に我慢できなくなった柚希は──。 ◇◇ 猛獣レベルの初恋を胸に抑えきれなくなった柚希と、俺様でいたいのに、溢れる想いにそうも言ってられなくなる悠介のラブストーリー。 ◇◇ ※ 2022年12月10日発売、ベリーズ文庫のサンプルとなります。
高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
pinori/著

総文字数/116,025

恋愛(キケン・ダーク)213ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
高坂美波 上条智司 過去の恋愛が邪魔をしてなかなか恋に踏み出せずにいた美波は酔った勢いを借り、上条と一夜を過ごす。 「上条さんが私に特別な好意を持ってくれていないことはわかってます。振り向いてくれる可能性がないことも、ちゃんとわかってます。その上で、諦めたくないんです」 その夜だけで終わらせたくはないと高々と宣言したはいいものの、上条から想いをほのめかされるたびに、距離を縮めるたびに、自分の中に違和感が浮かび始める。 「おまえの過去の恋愛話は聞きたくない」 「俺からは触れないっていうのも、案外厄介だな」 嬉しいのに。 ちゃんと好きなのに。 過去の恋愛でできた傷は、もう克服したはずなのに……近付くのを怖がる自分に気付いてしまった。 「おまえはたぶん、安心して片思いできる相手だったら誰でもよかったんだろ」 上条の冷たい眼差しに、すぐに返事ができなかった美波の答えは――。 2022.2.4 start 2022.5.11 end
赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
  • 書籍化作品
[原題]許嫁御曹司が秘めた、執着的溺愛
pinori/著

総文字数/136,193

恋愛(純愛)248ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
桧山美織(22) miori hiyama 桧山匡(30) hajime hiyama 『匡くん、大好き。大きくなったら私と結婚してくれる?』 私がそうプロポーズしたのは六歳の頃。 あの頃からずっと、私は匡さんだけが好きで、もちろん今だって大好きだ。 そんな相手と結婚できた私はもう十分幸せなんだし、匡さんからの愛情まで求めたら罰があたる。 結婚してからずっと、そう思って自分を律してきたのに。 「心配しなくても離すつもりはない」 「強引にして悪かった」 匡さんがたまに見せる優しさに、心が欲張りになる。 2022.4.7 完結公開

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop