気まぐれな猫と俺様束縛系飼い主のちょっと危険で甘い生活
ジントニックも三杯目・・・。

「あ~、お腹いっぱい!ご馳走様。」

スマホを確認すれば、22時を過ぎたところ。

「送る・・。」

今まで無言の男、黒瀬蓮が呟く。

私の声聞いてたんだね?少し驚きながらも「お願いします。」と頭を
下げてみる。

「アッ!食事代は?」

「・・いい。」

「そ、そう?じゃあ、ご馳走様。」

ソファーから立ち上がると、黒瀬蓮がまた私の手を掴むと今度はゆっくりと
歩き出した。

裏口を出ると、既に来た時と同じ高級外車が横付けされていて、また同じ
ように後部座席に座らせられたが、手は繋がれたままだった。

車の窓から見えるキラキラした街の灯りをどこかボーっとした頭で眺めて
いると、暫くして私のマンションに着いた。

降りるのに手を解こうとすると、グイっと引き寄せられ甘くスパイシーな
香りと共に、私の唇に柔らかい感触が押し付けられる。

「またな・・・。」

車を降りた私にその一言を残すと、車は闇に消えていった。

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