気まぐれな猫と俺様束縛系飼い主のちょっと危険で甘い生活
今置かれている自分の状況が掴めない。

車の後部座席に隣同士で座る男・・・『キング』こと、黒瀬 蓮。

初めは私の事を『CAT』と知って、何かの仕事の依頼かとも思ったが・・・
どうやら、本当にただ部屋まで送るだけのために私に声を掛けたようだ。
何故なら、「乗れ」と言ってから一言もこの男は口を利かない。

じゃあ、何故私に声を掛けた?

キングは、女を容易く自分のテリトリーには入れないはず・・・。

ダメだ・・考えれば考える程分からなくなる。

程なくしてマンションが見えてきた。
車に乗って5分もない時間が、途轍もなく長く感じた。

マンションの前に車が停まると「スマホ、出せ。」「ハッ?」
とぼけてみせると、バックから簡単にスマホをひったくられ、何やら操作
するとポンと投げて返される。

「ちょっと!投げないでよ!」

ムカつき、思わずキングの顔を見上げ睨みつけようとすると、グイっと腕を
引っ張られキングの掌が後頭部に周ると、唇に柔らかな感触を感じた後、驚き
で軽く開いた隙間から舌が入れられ、私の舌を軽く絡めてから離された。

「またな。」

走り去る車を茫然と眺めながら、甘くスパイシーな移り香にドキドキする
何かを感じた。

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