僕を狂わせるもの

仕事で忙しくしていると、その時だけは時間が早く流れてくれる気がする。
でも、一度ぼぅっとするとあなたを思い出してしまう。
そしたら目の周りが熱くなって来る。

きっと情けないって思うだろ?
仕方ないじゃん?
男って女々しい生き物だからさ、こうなってみて僕も最近それに気付いた。
おかしいだろ?

あれから三年の時が過ぎて、僕はあなたと同じ年になってしまった。

そうやってあなたの止まってしまった時間から、僕はあなたの年齢を追い越して行くんだな。

心もそうだろうか?
懐かしく思える日が来るだろうか。
そうならなきゃいけないのだろうな。

誰かが言ってた。
彼女の事を思って悲しみにくれていると、彼女が安心して眠れないって。

分かってる。
分かってるつもりだけど、今は無理だ。辛すぎる。
もう少しあなたの思い出に抱かれていたい。

そんな僕の思いに反して、部屋からあなたの匂いが薄れていく。
何かが離れていきそうな気さえする。
残留思念ってやつかな?
部屋だけが覚えている。
僕らの過ごした日々を繰り返しているようだ。

だから辛いのかな。
ふと、〝 ただいま~ 〟ってあなたが返って来るんじゃないかって思ってしまう。

でも扉はあなたの笑顔を連れて、開きそうにはない。

時間が経つごとに淋しさが募る。
あなたがいないと思い知らされる。

一人になると余計辛いよ。

神様、もうあなたを恨んだり、誰かを妬んだり羨ましがったりしないから、楽にさせてもらえないだろうか?

それがダメなら、
まだもう少し、もう少しだけ、彼女を感じていたい。

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