青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~


「そうよ。お父さん、失礼よ。みやびさん、とっても素敵な女性じゃない。私、嬉しいわ。こんな可愛らしい方が蒼介をもらってくださるんだもの。みやびさん、蒼介を、どうぞこれからよろしくお願い致しますね。」


そう言ったお母様の笑顔は、太陽のように明るかった。
胸にじんわり暖かいものが広がり、刺さったトゲを一つ一つ拭われた気がした。

それに救われて、私は心からの笑顔と共に、「こちらこそ、不束者ですが、よろしくお願い致します」と言えた。

恋人のフリなのが申し訳なくなる。
それくらい、お母様は嬉しそうに笑っていらっしゃるのだ。

このまま本当に、結婚できたら良いのに。

そんな儚い願いは、お父様の「そうだな。みやびさん、蒼介を頼むよ」というお言葉に乗せて、テンちゃんの胸に届くよう願ってみた。



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