青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
「ふふ、騙されましたね。私だってやるときゃやるんですから」
目を見開くテンちゃんは、触れた唇に手を当てている。
いつの日かテンちゃんが私に言った言葉をそっくり返すと……
ふふふ。赤くなりましたね、テンちゃん。
「お前…そんなことするやつだったか?」
あら、その言葉も聞いたことがある。いつか私が言った言葉じゃない。
少しは私も上手に近づいたかと嬉々としていると、彼はその上手をきた。
手首を掴まれ、どさっとソファに押し倒される。
両手首ソファに軽く押さえつけられ、すぐ真上にはテンちゃんの整った顔。
彼の私を見下ろす瞳は、どこか獣のような……。
「煽ったの、お前だろ。いいんだな?」
意味深な言葉と共に、彼は再びキスをした。
長い…。テンちゃんの唇が、中々離れない……!
息を止めたまま身動き出来ず、窒息死するかと思い始めた頃、やっと彼の唇が離れた。
先程までの空気とは打って変わって、男と女がひとつ屋根の下にいるということを思い知らされる。
彼は私を見据えて視線を外さない。
私もテンちゃんを見上げたまま、動けない。