青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~

観覧車の乗り口は、一般と赤いゴンドラ用とわかれている。

今なら並ばずに、赤いゴンドラに乗れるのだけど……


「テンちゃん、観覧車、乗りませんか?」


言えた…けど、あともう一息、赤いゴンドラの方に…って…


「いいけど…なんで乗り口が二つあるんだろうな」


うっ、そ、れは……

結局ジンクスのことを話せないままに、私たちは観覧車の下へ向かった。

ふぅと深呼吸をして、いざ赤いゴンドラのジンクスを話そうとすると……


「お客様〜カップルですか?
ならば是非こちらの赤いゴンドラへどうぞ〜!当園自慢の、名付けて愛のゴンドラでございまーす!
こちらの赤いゴンドラがいちばん高いところに登った時、キスをすると永遠に結ばれるという伝説があるんです〜!」


私が言いたかったことを、そっくり係員の女性が言ってくれた。

ジンクスとは言わずに伝説と言ってしまうあたり、さすがです。


「…これか。」


テンちゃんは、係員さんの言葉に納得したように呟いた。

お前がここに来たかった理由。口に出さずとも、意地悪げな瞳で私を見下ろし、くすくす笑っている彼からは、そんな言葉が聞こえてきそうだった。

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