青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
レジデンスを後に、脇目も振らず歩き続けるテンちゃんについていくと、人気のない裏庭のような所に着いた。
くるっと振り返った彼は、ガバッと思い切り私を包み込み、聞きなれた声を私の耳に流し込んだ。
「勝手に居なくなろうとするな。
バカか、お前は。…でもはっきりしなかった俺が悪い。
エンジェルウィング病院を継ぐこと、黙っててごめん。
星莉と婚約してたこと言わなくてごめん。婚約の件は破談にしてもらってから、どっちも話そうとは思ってたけど、もっと早く言うべきだったな。
不安にさせて、悪かった。
俺が好きなのは、みやび、お前だけだ」
やっぱり夢なんじゃないか…なんて思いは、唇に落ちてきた柔らかいキスが拭ってくれた。
再びどばどば涙を流しながら、コクコクと彼の胸で何度も頷いた。
今度は、ちゃんと伝える。
「私も好き。大好きです…」
「一生愛し続けるから、俺と、結婚してください」
「はい!」
眺めるだけだった王子様が、今や未来の…旦那様……になってしまった。
好きだと伝えるのは恥ずかしい。
けれど、それ以上に愛おしいのだと、今よく分かった。
これから何度も、何度も好きって告うからね。
私の腕からこぼれ落ちそうなほどのテンちゃんへの愛を、ずっと伝え続ける。
バレンタインのチョコレートを手作りできるくらい料理も練習するから、テンちゃんもずっと好きでいて――。
ちょっと図々しいかな、と思ったけど、テンちゃんなら叶えてくれそうだ。
彼は、何度も〝愛してる〟と囁きながら、私を強く強く抱きしめた。
負けないくらい、私も強く抱きしめ返す。
明日も明後日もその先もずっと、彼と一緒に居られる未来を願う。
二度と会えなくなるなんて、そんな選択はもうしない。
何があっても、私が惚れた青いスクラブの王子様を手放さないと、心に決めた。
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