青いスクラブの王子様。~私が惚れたのは、一等級の外科医だった件~
でもテンちゃんが結婚しちゃったら、私は告白なんたるやできなくなる。
いや、してはいけなくなる訳で。
言いようのない曖昧な関係のまま終わってしまったら、私、一生引きずる自信があるわ。
………一肌脱ごう。
一人拳を振り上げ自分に喝を入れ、彼に承諾のメッセージを送った。
既読がついたのを確認し、私は直ぐにクローゼットを開ける。
結婚を薦めているのは、テンちゃんのお父様かもしれない。お父様はベリーヒルズビレッジタカノミヤの会長様。
そんな彼のお眼鏡にも合うように、立ち居振る舞いから服装まできっちりしなくては。
立ち居振る舞いについては、世間一般でいうと厳しい私の両親に、幼い頃から嫌という程叩き込まれてきた。
茶道、華道、着付け漬けの毎日に、たまに特別講義として高級料亭での作法とマナーも教わった。
母は薬剤師で父は小学校教諭。
どちらも頭脳はとんでもなく発達してらっしゃるが、職業柄私が教わってきたそれらは必要ないはずなのに、どうしてこんなにやらなければいけないのかと、昔は反感もした。
今でも一年に一回、地元に帰っては高級料亭の特別講義があるくらいで、いい加減にもういいでしょうよ、と若干疲れてきていた。
しかし、薬剤師の母からの入れ知恵で、テンちゃんが熱で倒れた時手際よく介抱できたし、
今も、それら全てが役立とうとしている訳だ。
泣きながらでも毎日やってきた甲斐があった。
両親よ、ありがとう。