終わりから始まる恋

最近は金曜の仕事終わりに彼女が家に来て泊まり土曜の夕方に帰るというデートプランが当たり前になっていた。

金曜日になると早く仕事を終わらせるため、いつもより気合が入る。

俺ってだいぶ惚れ混んでいるんだな。

今まで、そこまでのめり込んだ相手がいなかった。
自分自身の変わり様に苦笑がでる。


仕事が終わり、速攻で家に向かった。
家に帰ると彼女が待っていた。

「おかえりなさい。」
「ああ、ただいま。」

今日俺に課された任務は名前呼び。

波打つ心臓が煩い。
すぅーーっと深く深呼吸をした。

「ここ最近、肌寒くなってきたわね。朝晩は冷え込むから風邪ひかないようにお互い気をつけましょう。」
そう言いながら彼女は俺の仕事鞄を持ってくれた。

「まあ、11月だしな〜。寒いのは勘弁だぜ。」
「冷えると思ったからお風呂沸かしといたわ。ゆっくり浸かってきて。」
「気が利くじゃねぇーか。ありがとな。す、す…花守…」

俺のバカァー！あとちょっとなのに！
たった3文字の言葉もいえねぇーのか！
簡単だろ？名前呼ぶなんて！

そう自己嫌悪しながらお風呂に向かう。

身体を綺麗にした後、お風呂に浸かりながら

風呂出たらちゃんと言う。名前を呼ぶ。
何度もシュミレーションしてきたんだから！

顔にお湯をかけ頬をバシバシと2回叩いてお風呂を出た。