終わりから始まる恋
しばらくして花守が合流した。

そういえばサークルの飲み会から一緒に酒を飲んでなかったな。
サークルの飲み会の時も席が遠かったし、何しろ興味が無かったから記憶にも無い。

意外にも酒が好きらしく、3人とも酒が進んだ。
色んな話をした。花守は基本、聞き手役にまわっていたが。
全員がほどよく、ほろ酔い気分になってきた頃、海斗が切り出した。

「なぁ、花守は総悟の何処がいいんだ?」
「お、おいっ!」
話を遮ろうとしたが、俺もそれに関しては凄く興味が湧く。ごくりと唾を飲み込みながら花守が話を続けるのを待った。

花守は少し照れ臭そうに
「杉田は困ってる人を見ると率先して助けに行くし…少し怖い顔のせいで誤解される事も多くてどうやったら誤解を解けるか悩んでる所も…捨て犬になけなしの金で餌をあげてたのも知ってる…そーゆー優しい所が好き…」と小さく呟いた。
随分、酒に酔ったのか言い終わると彼女は机に突っ伏して寝始めた。

「おー!すっげー惚気だな!愛されてんな、総悟!笑」
からかった海斗の声が聞こえない。
花守がさっき言った言葉を思い出す。

なんだそれ、なんだそれ、なんだそれえぇ。捨て犬って高校の時のか?それって高校の時から俺のことずっと見ていて好きだったって事か?毎回何でこんなに胸に刺さる言い方をしてくるんだ!こいつは!!俺を悶え殺す気か?!?!

「おーい!聞いてんのかぁ??笑」
そう言って海斗は俺の顔の前で手の平をひらひらさせた。
「抱く…、おうち帰るうううう!」
そう言ってガバッと立ち上がる俺に
「馬鹿かお前」
と爆笑しながら海斗が頭を叩いてきた。

それから、しばらく呑んだ後お開きになった。
< 9 / 23 >

この作品をシェア

pagetop