会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】

外階段をあがって、鍵を開けて入る。

俺の部屋に行くには、リビング件ダイニングを通らなければいけない。

書類や書籍の積まれたダイニングテーブルで、ノートパソコンに向かっている母親が俺に気付いて顔をあげてきた。

「あら、帰って来たの。ごはんないわよ」

「食べて来た」

「そ」

母親とのやり取りはこれだけ。おかえりもただいまもない。

五畳ほどの自分の部屋に入って、ドアを閉める。

カバンをベッドに投げて、ポケットに入れていたスマホは勉強机に置く。

部屋はベッドと勉強用の机のほかはカラーボックスを本棚にしたものくらいだ。

詰まっているのは過去の教科書とか、バイト先のおじさんがくれた本とか。

おじさんもおばさんも読書家で、喫茶店には常連さんがもう読まないからと差し入れてくれご自由にどうぞの本が並んだ本棚がある。

いだたいたもののご縁だから、というおじさんたちの意向で、本たちは持ち帰り自由だ。

その代わりに、といった感じで別の本を置いていくお客様が結構いるから、俺の背より高くて両手を広げたくらいの幅の本棚はいつも埋まっている。

俺は入れられる本がないから休憩時間に借りて呼んで返していたんだけど、それを察したのかおじさんがたまに、「これ以上入らないから持って行け」とくれることがある。

おじさんは静かでクラシカルな喫茶店に似合いの、背の高いぶっきらぼうで言葉少ななジェントルマンだ。

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