Sweet break Ⅳ

『そういうもの…かな？』
『そういうものなの！男からしたら、”ほっとけない”ってなるでしょ』

でもこの数日間、目の前の席で、落合さんに熱心に仕事を教える関君を見ているけれど、その様子からは、彼女に対して特別そういう感情があるとは思えない。

なにより、当の落合さん本人が、あの関君を前にして頬一つ赤らめることなく、淡々と教わっているのが不思議なくらいだ。

『それに朱音、知ってる？』
『何？』
『サポーターと新人って、結構な確率でくっついてるって』
『何よソレ』
『これは”私調べ”だけど、新人とサポーターの男女の組み合わせって、今まで半数近くが付き合ってるって話』

言われて、何気なく自分の知り得る範囲で、該当する組み合わせを思い起こしてみる。

確かにそういう事例があることにはあるけど…と、そこで脳裏にあることが思い浮かび、向かいの紗季を見た。

『なるほどねぇ』
『？何よ、なるほどって』
『そういえば、紗季と高崎さんもそうだったなぁって』

紗季の恋人である高崎さんが、元々紗季が新人の時のサポーターだったことを思い出し、そのことを口に出せば、紗季がわかりやすく慌てだす。

『う、うちらのことは、ともかく…よ！』
『ふ～ん、新人の右も左もわからない紗季のこと、放って置けないと。あの高崎さんが』
『ちょっと！私、そんな甘えたつもりは無いわよっ』
『意外、紗季でも甘えたりするんだ』
『だから私の話じゃないってば』