Sweet break Ⅳ
…と、ほんの数歩もしないうちに、唐突に誰かに肩を掴まれ、無理矢理振り返させられてしまう。
『え』
振り向いた先には、たった今、立ち去ったはずの関君。
『関君?どうし…』
『朱音』
ドキッ
耳元で小さく囁かれたのは、職場では絶対に口にしないはずの私の名前。
『俺以外の男の前では、我慢しろ』
『…?』
『察しろよ、さっきの話だ』
『あ、うん』
言われてやっとその意図を察した私は、直ぐに頷き返す。
関君はその回答に満足したのか、さりげなく私の頭に手を触れると、今度は何事も無かったように、そのまま無言で立ち去っていく。
咄嗟に、関君が触れた場所に手を当て、周りを見回した。
幸いにも誰一人私達を見ていた人はいなそうで、ホッとすると同時に一気に紅潮する頬を、慌てて書類で隠す。
『もう…いきなりは心臓もたないって…』
次から次へと打ち付ける雨音と雷鳴が轟く中、今やもうそんなことなど全く気にならない。
それほどまでに、関君の突然のスキンシップは、私を狼狽させる。
この日の翌日、長かったこの年の梅雨明けが発表され、本格的な夏がやってきた。
・・・・・・・・・・・・
『え』
振り向いた先には、たった今、立ち去ったはずの関君。
『関君?どうし…』
『朱音』
ドキッ
耳元で小さく囁かれたのは、職場では絶対に口にしないはずの私の名前。
『俺以外の男の前では、我慢しろ』
『…?』
『察しろよ、さっきの話だ』
『あ、うん』
言われてやっとその意図を察した私は、直ぐに頷き返す。
関君はその回答に満足したのか、さりげなく私の頭に手を触れると、今度は何事も無かったように、そのまま無言で立ち去っていく。
咄嗟に、関君が触れた場所に手を当て、周りを見回した。
幸いにも誰一人私達を見ていた人はいなそうで、ホッとすると同時に一気に紅潮する頬を、慌てて書類で隠す。
『もう…いきなりは心臓もたないって…』
次から次へと打ち付ける雨音と雷鳴が轟く中、今やもうそんなことなど全く気にならない。
それほどまでに、関君の突然のスキンシップは、私を狼狽させる。
この日の翌日、長かったこの年の梅雨明けが発表され、本格的な夏がやってきた。
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