Sweet break Ⅳ
『営業部の方でも噂になってるわよ、彼女。かなりの切れ者だって』
『うん、確かに…業務に就いて間もないのに、大きな仕事も任されているみたいだしね』
『まぁしいて言えば、愛嬌が無いのがちょっと難点だけど、あの美貌に反して、その塩対応がまた良いんだって』
『ちょっと、紗季その言い方…』
『あら、私じゃないわよ。営業の男どもが言ってんの』

窘めるように指摘すれば、言い訳の続きに『でもわからなくも無いけどね~』と紗季。

彼女が言うには、変に笑顔を振りまいて甘える新人女子よりも、”萌える”ということらしい。

『同じ配属だと良くも悪くも比べられちゃうのは仕方ないけど、相手があれじゃ、新人君だって相当プレッシャー感じてるんじゃない?』
『そうかな?未来君は、そんなこと気にして無さそうだけど…』
『さすがに、表立ってはそういうとこ見せないでしょ』

いつも元気で明るい未来君からそういったものは感じられないけれど…でも、考えてみたら今回須賀君の仕事を引き受けたのも、少なからず彼女の影響があったのかもしれない。

『朱音はどうだったのよ?』
『え?私?』
『あの関君と一緒で、それこそ比べられたでしょ?』

紗季に聞かれて自分の1年目を思い起こせば、その差は今の落合さんと未来君の比じゃなく、そもそも関君に追いつきたいなど、考えたことも無かった気がする。

『私の場合、比べられる以前だったかも?最初の方なんか倉沢って名前より、”関じゃない方の新人”って呼ばれることもあったしね』
『何それ、酷い』
『おかげで、変な期待されなくて楽だったよ』
『あ~ね、それ朱音らしいわ』

呆れた口調ながらも、可笑しそうに笑う。
< 37 / 145 >

この作品をシェア

pagetop