このご時世


諦めていた後だったので、驚きと嬉しさで言葉がでない僕にキミが話しかけてくれた。


「元気してる?」

「う、うん。元気だ、よ。そっちは?」

「元気だよ」

「そ、そっか」

話したいのに喉でつまって上手に話せない。

僕は、こんなに情けないのか。と思っていると

キミは、手際良くお会計を進めていく。

「____円になります。」

「あ、うん。」

会えさえすればいい…それだけで…なんて嘘だ。本当は話したい。何か言葉はないのか!とお財布の中からお金を出しながら考えていると、



「煙草まだ吸ってるんだね。禁煙はやめたの?」


呆れてる顔がマスク越しでも分かった。

彼女と別れるほんの少し前、禁煙していたのだ。
体に少しでも良いように、長くキミの隣りにいられるようにと思って、禁煙をしていたのだ。

「あの後、いろいろ考えてたら煙草に手が伸びていてさ、ダメだったよ」

「あの後?」
小首を傾げるキミに、僕もぎこちない笑顔で、


「キミと別れた後だよ。女々しいかもしれないけど、もらったジッポまだ使ってる」


「そっか、うん。さっき喫煙所で煙草吸ってる姿見えたから。そっか、まだ使ってるんだ。」






少し嬉しそうに目元が優しく見えたのは、



きっと僕の気のせいだろう。
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