青空が君を笑顔にするまで
「そうじゃなくて……。俺、実は一年前に検査をしていたんだ。母親には内緒で。もっと、早く言うべきだった──」
「……検査。何の検査なの?」
「不妊検査。医者から、今後子供が出来る確率はゼロパーセントだと言われていた」
創ちゃんから聞かされた内容に気を失いそうになった。
なぜなら子供が出来ない原因はずっと私かもって思っていたから。
「創ちゃん、どうして、今?」
「真実を知った時は俺もショックで。ハルちゃんに嫌われたらどうしようとか。
母さんに驚かれたらどうしようとか。毎日、マイナスな事ばかりが頭の中に浮かんで……」
こんな大切な話をずっと黙っていたなんて。
怒りの感情が少し沸き起こりそうだったけれど。
でも、創ちゃんを責める気分になれなかった。
「創ちゃん、苦しかったんだね」
「ごめん。本当に、ごめん……。もっと、早く話していたらって。何度、後悔をしただろうか。いつも、母さんからハルちゃんを守れなくて……ごめん」
創ちゃんが鼻をすする音で電話の向こうで泣いているのがわかった。
「創ちゃん、……大丈夫?」
「うん」
「創ちゃん、話してくれて、ありがとう」
「俺、この電話を切ったら。すぐに、この事をきちんと母さんに電話をしようと思ってる」
「創ちゃん、……恐くないの?」
「母さんの性格がわかっているから。きっとこっぴどく叱られて怒鳴られるだろうけど。俺が悪いから。大丈夫」
「そう」
「それから。ハルちゃん、幸せにな」
「幸せにな……?」