君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「あー…祖父さんは何も話してねぇ?」


「全然。〝孫をよろしく〟と、〝健闘を祈る〟しか言われなかったけど?」

「…クソジジイめ。」



中野 神弥はちっと舌打ちをすると、私から離れて一歩進んだ。



「なぁ、花菜。」


「何。」


「アンタは…将来を決められたら、その敷かれたレールの上を歩くか?」


「はぁ?」



伺うような視線。


…ちょっとは待ちなさいよ。


そんな質問、すぐに答えられるわけないでしょ。



「そうねー…私なら、決められたレールを歩くかもしれない。」


「恋愛もか?」


「恋愛…は嫌かも。」



私は親に決められた相手じゃなくて、自分が惹かれた相手と恋をしたい。


…ん?


いつかに八神 架琉が〝神弥はお見合いさせられそうになってた〟って言ってなかったっけ。
< 104 / 385 >

この作品をシェア

pagetop