君は無垢なフリをして───本当は野獣。
「《はぁー…まぁ、いいか。》」
ん?
何だか元気がない。
「どうしたの?」
「《何でもねー。》」
「あるでしょー?」
「《ねぇって。》」
むー。
「いたたっ!架琉くんがぶつけたオデコが痛い!」
チラッ
「《……。》」
見てない。
見てませんよ、架琉くん。
うぅ…
私、本当に泣いちゃうよ…?
「《…貴之と食い違いがあったんだよ。》」
貴之?
ってTAKAYUKI?
「《アイツはメジャーデビューに躍起になってて。俺の歌い方が気に入らねーって。…俺は楽しく歌いたいだけなのに、な。》」
フッと笑って上を向いた架琉くんは、何だかお家を無くした猫みたい。
つい、私は架琉くんの頭に手を伸ばしていた。