転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
逆に彼が嫌うポイントとしては、嘘つきであること、人を裏切ること。これは元妻の駆け落ちが起因しているのだろう。
(そうそう、それから努力してる人間も好きなんだ。リリザが魔法の研究がうまくいかなくて夜中まで実験していた姿を見て、感心して実験を手伝うようになってたもんね。口だけじゃなく行動で示すのが大事ってことか)
とにかく彼の心を掴むには、誠実であることが大事なようだ。
ゲームでは怠け者でズルくて人を陥れようとばかりしていたサマラが、ディーに嫌われていたのも理解できる。
(あとは、なんたって魔法に精通して妖精を愛してることよね!)
サマラはノートに『魔法!』と書いた箇所に、グイグイと太く下線を引いた。
ディーは大陸一の魔法使いだ。彼のアイデンティティどころか、魔法は彼そのものと言っても過言ではない。これを蔑ろにしては話にならない。
(そう考えると……私も将来はやっぱり宮廷魔法官を目指した方がいいのかな。王宮に行くとリリザに出会っちゃうから避けたかったんだけど……)
『魔法の国の恋人』の舞台は、バリアロス王国の王宮だ。主人公のリリザは魔法の才能が有り、宮廷魔法官を目指して王宮にある魔法研究所へ弟子入りに来るのだ。そしてサマラもまた、魔法の才能はほぼ皆無ながら父のコネを使って宮廷魔法官になろうと魔法研究所に弟子入りに来る。つまりリリザとサマラは同級生のような立場だ。