転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました

サマラの破滅エンドを避けるのならば、リリザと出会わないことが一番かもしれない。しかしディーに気に入られるためには魔法研究所への弟子入りは必須だろう。なんといってもこの国で魔法使いという身分を得て生きるためには、魔法研究所に入るしかないのだから。魔法研究所にも入らない魔法使いはモグリ扱いだ。それではディーの顔に泥を塗ることになる。

(それにもし破滅エンドが避けられたとしても、その後の人生も続くとしたら、自分の身を守るためにも魔法は身につけて置いて損はないものね!)

この世界にはいわゆる『魔物』が出現する。町など人がいるところには結界が張ってあるので魔物に襲われることはないが、それでも油断は出来ない。護身術のつもりで身につけて置くのは正解だろう。

それに『魔法の国の恋人』とタイトルにあるように、この世界で魔法はとても重要だ。魔法使いという身分だけでそれなりに敬われるので、食いっぱぐれることはないと思える。

サマラはノートに『宮廷魔法官になる!!』と記すと、その下に『リリザと遭遇してもあまり関わらない。関わったとしても苛めない、優しくする』と書き足した。

「よし、とりあえずはこんなもんかな」

今のところ思い出せる限りのディーの情報を書き起こしたサマラは、ノートを閉じてパッと顔を上げる。ちょうど同じタイミングで部屋の扉がノックされ、「お嬢様、晩餐の支度が整いました」とメイドの声がした。

「今行くわ」

返事をしてサマラは「よいしょ」と椅子から降りた。

「……それにしても……」

呟いて、サマラは扉に向かっていた足を止めグルリと部屋を見渡す。
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