転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
先週起きた『アンチ・マジック』による神殿とのいざこざは、一応決着がついた。国王がシャーベリンの非を認めたのだ。

国王とて内心魔法使いの肩を持ちたくはないが、さすがに今回は被害が大きすぎた。多くの魔石が壊れたことで魔物退治に使う武器や道具の開発が不可能になり、さらに一般にも市販している薬やハーブなどの生産まで滞ってしまった。

国王にとって使い魔などの命はどうでもいいが、魔物退治や薬の生産に支障が出るのはさすがに困るらしい。

本意ではないが国王は魔法研究所に緊急の予算をつけ、所員たちの憤りを収めるためシャーベリンに謝罪を促した。
さすがに直接頭を下げることはプライドが許さなかったのだろう、シャーベリンは書面で魔法研究所に謝罪を表し、一応はこれで手打ちとなった。
ディーもこれ以上揉めるつもりはないようで、この件についてはもう口を噤んでいる。

おそらく神殿側は内心むしゃくしゃしているだろうが、とりあえず表立った大きな諍いは回避できたようで、サマラは安堵した。

しかし神殿との問題が解決されるとほぼ同時に、新たな厄介の種がやって来たのだ。それは――。

「お父様が最近不機嫌なのは神殿じゃなく、変なお客さんのせいよ。最近屋敷や研究所にその人が来るの。六十か七十くらいのお爺さんで、一応魔法使いの黒い外套を着てるんだけど、ここの所員じゃないのよね。ザハンって名前らしいんだけど何者なんだろう」

謎の客人のことを思い出しながらサマラは語る。彼が何者かはわからないけれど、その名前はよく覚えていた。サマラが十一年前に王都にやって来たときに、ディーのもとへ訪ねてきた人物だ。
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