転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
ディーを見送ると、カレオはサマラをいつものように抱っこしてくれた。どうやら彼は最初から子守りとして連れてこられたようだ。

「何か欲しいものとか見たいものとかありますか?」

店や露店の立ち並ぶ大通りをブラブラと歩くカレオの腕に抱かれながら、サマラは初めて見る品々に目を輝かせた。

「カレオさま、あれは何?」

「あれは異国の塗料売りですよ。水に溶かして筆につけてあれで絵を描くんです」

「あっちのは?」

「船で運ばれてきた魚をすり潰して油で揚げたものですね。食べますか?」

「ううん、いらない。ねえ、あれは?」

「あれはクッション売りかな。硬いのから柔らかいのまでクッションが山積みですね」

(ふわ~、面白い。前世のときにテレビで見た外国の市場と似てるなあ)

新鮮な光景に、サマラは目が離せない。珍しいのは売ってる商品だけではない。貿易湾の街だけあって、大通りを行き交う人たちも様々だ。見たこともない服装に、不思議な髪の色、異国からの魔法使いもいるようで、なんと魔法の絨毯で飛んでいる者までいた。

(すごーい。ゲーム本編には出てこなかったけど、色々な人たちが住んでる世界だったんだなあ)

つくづく感激しながら眺めていると、奥まった場所にあるテントにやけに人が集まっているのが見えた。

「なんでしょうね? 行ってみましょう」

カレオに抱えられたまま行ってみた先で、サマラは驚くべきものを目にして顔を歪ませる。
大小幾つかの檻。その中には涙を零して助けを求める、水の精の子供がいた。
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