転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
外壁はつけ柱で飾られ、玄関口の梁の上には家紋が大きく掲げられている。家の中もやたらと装飾が多く、大理石の暖炉や家具の脚、扉にまで精緻な彫り物がされ宝石が埋め込まれていた。

「他人事みたいに言ってどうする。今日からはお前の屋敷でもあるんだぞ」

キョロキョロと周りを見回しながら廊下を歩くサマラに、隣を歩くディーが呆れたように言う。
屋敷に到着したふたりはひと休みする前に、二階に新しく用意したサマラの部屋を見に行った。
アリアン州の屋敷と同じく、この屋敷にもサマラの寝室と勉強部屋、ドレッシングルームと居間が用意されている。

「わ、可愛い！」

サマラの部屋は白地に赤い小花柄の壁紙を基調とした少女らしい室内装飾だった。勉強机やベッド、棚などの家具は白いブナの木材で統一されていて、リボン柄の木彫り細工がされている。ソファーの生地やクッションも明るい花柄で、ひと目で年頃の女の子の部屋だとわかるようなインテリアだ。

部屋の中をあちこち見て回るサマラに、ディーは「気に入ったか？」と尋ねた。
「うん、とっても！」と答えると、彼の顔に微かに安堵が見えた気がした。

（もしかして、インテリアってディーが考えてくれたのかな？）

彼がこのやたらに愛らしい部屋をプロデュースしたのかと思うと笑ってしまいそうになるが、それより何より娘を想ってくれる気持ちが嬉しい。

「ありがとうございます、おとーさま！　おとーさまと一緒に暮らせるうえ、こんなに素敵なお部屋を用意してもらって、すごくすごく嬉しいです！」

感謝の気持ちでギュッと抱きつけば、ディーはサマラを抱き上げいつものように抱っこしてくれた。

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