居酒屋ーーーキスをあげよう―――
彼女は『―――貴方・・・もっとカニないの?もっと食べたいのに―――』と、笑って言った。その様子に、ざわっと周りが騒ぎ出した。カニは明日食べなさい、今日はもう酒はなしだ―――。こんなに度の高い酒を、誰が飲ませたんだ?―――と、叫んでいた。いつも、温厚な男性なのに、怒号の声を張り上げた。酒は好きだが、彼女の事情を知ってしまったのか、寝せる事にした―――。
彼女は元々、酒に強い筈なのに、どうして、こんなに荒れてしまったのか?―――泉陽介は―――俺が娶ってやるから―――と、真面目に言ってきた。彼女は吃驚してしまい、『―――よ・・・陽介・・・君・・・』と呼んでいた。
『―――陽介で良い・・・俺が娶ってやるから、今日はもう寝ろ―――。』
その時、同じ年頃の子が現れると、『―――お兄様・・・その人・・・私が介抱いたします。』と言った。彼女は『―――貴方・・・誰?』と問うと、『―――妹よ―――こいつの―――』と言った。泉真子―――と言い、彼女は眼を丸くした。
『―――貴方・・・妹さんなの?』
『―――あら・・・貴女、話が通じるのね・・・良かった―――。』
それから、酔い止めを飲ませる為、水を持ってきた。それで水と一緒に薬を飲まされる事になった。
『―――貴方・・・ご家族が居ないの?事故でもあったの?』

其の言葉に、菜月はドキリとし、『―――そう・・・私・・・一人ぼっちになったの・・・』と泣き出した。だけど、気分転換に行け、と友達に言われて参加したと言った。
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